2009年11月28日

体育会系、水と闘う。

壁についてる連続したひさし、これらを水切り瓦といいます。白壁の下部に板が重ねられてる部分は下見板。これらは、外壁の装飾が目的なだけでなく、壁を流下雨水による濡れから守る役割をもっています。

現在では、シーリング材という材料で、壁の隙間を充填させて雨水が入ってこないようにするものがありますが、昔はそういうものがなかったので、雨水対策を知恵を絞って講じてたんでしょう。しかし、デザインと雨仕舞と一方を取ると、もう一つが犠牲になりそうなものの、両立させているのがさすが先人。

体育会系、水と闘う。

最近はキュービック(立方体)な家がシンプルで流行ってます。うちの建ててる家もそうです。それこそ庇や軒のない家です。デザイン上、目立たない水切りやシーリングに頼らざるを得ません。しかし、シーリング材も耐候性があるとはいえ、永久的なものではありません。ですから、水対策には知恵を絞らねばなりません。先人に習えばいい、そう考え買った本がこれ。

体育会系、水と闘う。

「基本と応用-雨仕舞のしくみ」(石川廣三氏著)です。ます、水の流れを知ることから始まり、水を殺ぐ、切る、返す、導く、抜く方法が述べられています。

水って重力や慣性力で人が予想できるように動くばかりでなく、毛細管張力や壁などの内外の圧力差によって思わぬ方向に動くことが書かれています。建物の基礎と外壁の境などにある水切り。これもそのほんの数ミリの隙間や角度の差で水の動きが変わる。水、恐るべし。

なんつったって水分子の大きさは0.0000003mm程度と言われてますから、どこからどう入るかって見えませんもん。

日本は雨も多いし、ゲリラ豪雨のような雨の降り方も増えてきてるような気がします。デザイン住宅をやっていく上で、雨仕舞を優先的に考えていく必要があります。この本はその指南書であり、常に携帯しておこうと思います。


Posted by Masakatsu Nishitani at 16:12│Comments(0)
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