漆喰の老舗を訪ねる

Masakatsu Nishitani

2011年02月14日 13:16

創業大正13年、漆喰の老舗である田川産業さん(田川市)を訪ねました。材料を取りに行ったついでに、工場を見学させてもらいました。この工場は、以前から幾度となく見学しているのですが、何度見ても飽きない。特にここにある「土中窯」が、僕の中では重要文化財に指定して欲しいくらいの価値があると思っているんです。



土中窯による石灰岩(漆喰の主原料)の焼成は、伝統的な工法であり、日本でこれが残っているところはほとんどありません。この土中窯を使用することによって、岩塩による原料の焼成を可能にします。岩塩によって原料の不純物が取り除かれ、純白で無垢のきめの細かい漆喰づくりが可能となるのです。



ベルトコンベアで、土中窯に運ばれる石灰岩。太古の貝殻や珊瑚の化石です。漆喰として壁に塗られれば、意匠性の高い、堅固で不燃の石の壁となるのです。また、石灰岩は日本で自給可能な原料。実際にここの石灰岩も田川で産出されたもので、地産地消の材料です。また、焼成の段階でCO2が排出されますが、漆喰として塗られれば、またCO2を吸収して固化していきます。地産地消、CO2排出量の点からもエコ建材のひとつとして考えられるでしょう。

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