画家のステンドグラス

Masakatsu Nishitani

2010年09月17日 13:35

私、建築士をしながら、ステンドグラスを生業としています。世界中のステンドグラスを調査研究し、日々、その光の美しさ、幾何学的なデザインを吸収したいと考えています。

今回、紹介するのは20世紀のフランスを代表する画家、アンリ・マティスの作品。色彩鮮やかな作品を多く残し、"色彩の魔術師"とまで謳われた画家です。



彼は晩年、南仏ヴァンスという街のロザリオ礼拝堂の内装デザインを手掛け、空と植物と光の3つをモチーフにした3色のステンドグラスを設計製作しています。このステンドグラスをつくるにあたって、マルティスには好きな赤色が使えないという不満が残っていたそうです。しかし、そのステンドグラスの色が床に反射して混ざり合うことによって、赤紫色が生まれました。彼はこの偶然の発見に大喜びしたそうです。



彼は、色のついた切り絵を何回も組み合わせながらこの作品をつくっていったそうです。こんな作り方もあるんだと驚嘆させられました。偶然によって生み出された色というのも魅力的なものです。僕も何百何千とある色の組み合わせによる思いもつかないような発色。ステンドグラスをつくる上で、そういったことも試行錯誤しながら製作に取り組んでいきたいと思います。今までは結果オーライ的な配色をしてましたので。

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