飫肥杉と漆喰の家

Masakatsu Nishitani

2012年02月10日 16:48

和の住宅リノベーション完成報告です。


玄関扉と靴箱。スギやケヤキを使用して造作。靴箱の天板も信頼する大工さんの厳選です。見事にイメージを実現してくれました。


建具はスギの造作品。ニッチにはお施主さんのお父上の力作の彫刻が。木と白い漆喰壁の面積の割合、バランスも検討しました。


リビング、ダイニング、キッチンには回遊性をもたせました。


子供が帰ってきて、2階に上がっても家族がわかるよう階段前の間仕切り壁も撤去しました。階段もインテリアのひとつとしたい意図もありました。


洗面脱衣所の壁はすべてスギ張りです。この家で使用した飫肥杉は、宮崎県日南市付近から産出されたスギです。樹脂を多く含むため吸水性が低く、強度があって軽量です。そのため、昔から造船用の木としても使用されていたようです。耐久性、色の深み、節の味が魅力で今回採用したんです。


リビングの角には、このお部屋のメインである"酒蔵"です。ワインセラーとお酒のボトルを飾れるような収納をつくりました。収納扉の面材にはアフリカの木材、ブビンガという木を使用。かなり色が濃く、色むらに味がでる素敵な木です。棚裏には間接照明を仕込んでます。


階段とその手摺も造作。木目が素晴らしいです。2階の壁は、お施主さんと家族、友人みなさんで左官仕事をおこないました。私が、「施主施工でおこなえば、コストも抑えられるし、素人がやっても味がでて簡単!」と言い切ってしまったため、その後大目玉を食らいました。「めちゃめちゃ大変やないか、しばくぞっ!」と激怒されてしまいました。肝心の私は押入れの裏しか塗れなかったものですから... 施主施工は大変です。簡単や言うたらあきません。

その他、外部の軒天、雨戸の戸袋、窓手摺等も飫肥杉を使用して造作しています。古い建物ではないんですが、古民家のような、風土性のある日本の家ができたと思っています。コストと闘いながらも、素材も可能な限り自然の"本物"を使用することができたので、耐久性のある、劣化ではなく経年美を生む家になります。
これも腕利きの大工さんのおかげ。感謝しています。

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