2009年07月21日

漆喰の絵 ~漆喰の性能とフレスコ画~

バチカン市国のシスティーナ礼拝堂の天井に描かれた「最後の晩餐」。ルネサンス期の彫刻家、画家で有名なミケランジェロの作品です。

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描かれた技法は、フレスコ画。漆喰を塗り、それが乾かないうちに塗料を塗り込むものです。なぜ、漆喰に?それは、数千年の時を経て劣化することなく、現代にその作品を伝えていることからわかります。

先日、新築工事中の壁一面をお客さんご一家みんなでヌリカベーゼしてきました。そこで、使用した漆喰の性能をあらためて検証します。

①審美性 ~ 意匠、質感が素晴らしい。光を反射せず、やわらかい光を映し出します。
②抗菌性 ~ 漆喰内部は強アルカリ性なので、カビなどの菌が繁殖しにくい。
③不燃性 ~ 原料が石灰岩ですので、不燃です。
④調湿性 ~ 吸放湿による過湿・過乾燥の抑制。
⑤浄化性 ~ 有害物質や臭気を吸着。
⑥断熱性 ~ 多孔質構造により、断熱性にすぐれ、昔から土蔵造りに使用されています。
⑦廃棄性 ~ 環境汚染しない。リサイクルも可能。
⑧硬化性 ~ 二酸化炭素を吸収して石化。年々強固になります。
⑨防音性 ~ 音を吸収して静かな空間をつくりだす。反響しません。

これらの性能を無動力で発揮する、いわゆる"自然のちから"を利用した素材なのです。

これだけ素晴らしいものを持ちながら何故、内装仕上げの主とならないのか?これは、施工者側の早く、安く、均質に、クレームなくという都合により減少していったのです。結果、大量生産されるものは安くなり、手間のかかるものは高くなり...他の日本の伝統工芸のように、利便性を追求するがあまり忘れ去られようとしているもののひとつなのです。

近年では、自然素材、土壁ブームもあり、これらの素材が日の目を見ることが少しは増えてきています。職人の努力によって、施工費も安くなってきてます。灯台下暗し。いいものは身近にあるんです。数千年もの太古からの建築家、芸術家、職人達のつくりあげた伝統文化を今に、未来に伝える。一生に一度の家づくりにはそういうことまで考えることがあっていいんじゃないでしょうか。

うちのお客さんには、ご自身での塗り壁をオススメしています。これによって、家づくりへの参加、左官仕事を家族みんなで楽しむ、低コストで自然素材の導入、日本の伝統技術の継承をしてもらってます。

注文住宅はコモス・スタイル。祖原・平尾・昭代の文教地区にて分譲中







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Posted by Masakatsu Nishitani at 22:54│Comments(4)左官見習い Plastering
この記事へのコメント
漆喰はいい所だらけですね!
自然のぬくもりを感じるだけでなく実用的ではないですか。
もっと普及されるといいです。
Posted by みやちゃんみやちゃん at 2009年07月22日 01:47
自分で塗るっていいですね、思い出になるしおうちに対する思い入れが変わってくると思います(*^_^*)
Posted by おちゃ at 2009年07月22日 08:11
みやちゃんさん、漆喰はほんといいとこだらけなんすよ。本当に普及して欲しい。僕らみたいなんが、専門的な知識をもって、その良さを説くことができないかん思います。頑張ります。
Posted by にしなっつにしなっつ at 2009年07月23日 00:36
おちゃさん、そうなんすよー。お客さんもめっちゃ喜んでくれるんですよー。家づくりへ参加してもらうんです。
Posted by にしなっつにしなっつ at 2009年07月23日 00:38
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